MENU

電気通信大学編入|情報理工学域3類の特別編入学試験を解説

電気通信大学編入|情報理工学域3類の特別編入学試験を解説

電気通信大学の特別編入学は、情報理工学域の昼間3類(Ⅰ類・情報系、Ⅱ類・融合系、Ⅲ類・理工系)へ3年次から編入する制度で、「推薦による選抜」と「学力試験による選抜」の2ルートがあります。推薦は学力試験なしで面接中心、学力試験は数学・物理または化学・英語の独自筆記が課されるのが最大の分かれ道です。この記事では令和9年度(2027年度入学)の募集要項をもとに、募集人員・出願資格・科目と配点・日程を整理し、「自分はどちらのルートで受けるべきか」を判断できるように解説します。数値は年度更新で変わるため、出願前に必ず大学公式の最新要項でご確認ください。

目次

電気通信大学 情報理工学域の特別編入学とは

電気通信大学(電通大)は、東京都調布市にある国立の理工系単科大学です。学部にあたる組織は「情報理工学域」の一つで、その中に昼間の授業を履修するⅠ類(情報系)・Ⅱ類(融合系)・Ⅲ類(理工系)の3つの類と、夜間を主とする先端工学基礎課程(夜間主コース)が置かれています。特別編入学は、この情報理工学域の昼間3類へ、高等専門学校・短期大学・大学などで2年相当の課程を修めた人が3年次から入学するための制度です。本記事は昼間3類にスコープを絞って解説します。夜間主課程(先端工学基礎課程)の特別編入学は募集時期・選抜方法が別枠で、募集要項の配布時期も異なるため、志望する場合は別途大学公式サイトで確認してください。

編入学が「3年次から」である点は、対策を考えるうえで重要です。1・2年次で学ぶ数学・物理・情報の基礎を、出身校ですでに身につけている前提で選抜が組まれているため、試験では高専・短大レベルの専門基礎が問われます。また、編入後は2年間で卒業要件を満たすのが原則ですが、出身校で修めた単位のうち電通大が認定する単位数によっては、履修科目が多くなり2年で卒業できない場合があると要項に明記されています。「入ってから何を履修することになるのか」まで見据えて出願先の類・プログラムを選ぶ姿勢が求められます。

まず押さえるべき電通大編入の特徴を整理します。

  • 選抜ルートが「推薦」と「学力試験」の2本立てで、必要な準備がまったく異なる
  • 学力試験ルートの英語は外部検定(TOEIC等)の提出制ではなく、大学独自の英語筆記試験
  • 類ごと(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)に募集し、志望プログラムも選んで出願する
  • 単位認定次第で「2年で卒業できない」ことがあり、履修計画まで含めた検討が必要

昼間3類(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ類)の特徴と学べる分野

電通大の情報理工学域は、入学後に段階的・探究的に専門分野を選択していく「学修者主体」の教育が特徴です。編入時にはまず類(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)を選び、その中の専門教育プログラムを志望します。どの類を選ぶかで学ぶ内容も、後述する面接・学力試験の出題傾向も変わるため、自分の出身学科の延長線上にある類を選ぶのが基本です。

令和9年度(2027年度)募集における各類の専門教育プログラムは次のとおりです。

3年次からの専門教育プログラム募集人員
Ⅰ類(情報系)メディア情報学/経営・社会情報学/情報数理工学/コンピュータサイエンス/デザイン思考・データサイエンス9名
Ⅱ類(融合系)セキュリティ情報学/情報通信工学/電子情報学/計測・制御システム/先端ロボティクス10名
Ⅲ類(理工系)機械システム/電子工学/光工学/物理工学/化学生命工学10名

Ⅰ類(情報系)は、情報学を軸にコンピュータ・アルゴリズム・プログラム・通信ネットワーク・データサイエンスまでを幅広く扱う類です。令和9年度からは「デザイン思考・データサイエンスプログラム」も編入募集の対象に含まれています(前年度は同プログラムの募集を行っていませんでした)。Ⅱ類(融合系)は、電子情報・通信・計測・ロボット・セキュリティなど、ハードとソフトの融合領域を扱います。Ⅲ類(理工系)は、機械・電子・光・物理・化学生命といった、理工学の基盤分野を体系的に学ぶ類です。

たとえば高専の情報系学科出身であればⅠ類、電子・通信・制御系ならⅡ類、機械・材料・応用化学系ならⅢ類が自然な選択になります。ただし出身学科と類の対応は厳密な線引きではなく、Ⅱ類とⅢ類のように隣接領域で迷うケースもあります。学力試験ルートでは第5志望のプログラムまで選択できるため、志望順位の付け方も戦略の一部になります。

募集人員と2つの選抜ルートの全体像

令和9年度(2027年度入学)の募集人員は、Ⅰ類9名・Ⅱ類10名・Ⅲ類10名の合計29名です。このうち推薦による選抜は「各類の募集人員の半数程度」とされています。つまりⅠ類なら4〜5名程度、Ⅱ・Ⅲ類なら5名程度が推薦枠のイメージで、残りが学力試験枠という配分感になります。推薦・学力のどちらか一方だけを選ぶのではなく、「まず推薦に出願し、不合格なら学力試験に出し直す」という併願的な受け方も制度上は可能です。

2つのルートは、必要な準備がまったく異なります。要点を対比すると次のようになります。

比較項目推薦による選抜学力試験による選抜
学力試験(筆記)なしあり(数学・物理/化学・英語)
主な評価材料推薦書・出願書類・面接学力試験の結果・出願書類
出願できる人高専卒業見込みで対応学科在籍・成績上位者高専/短大/大学卒(見込)等の幅広い区分
各校の推薦人数1校4名以内制限なし
面接あり(選考の中心)令和9年度は学力試験・出願書類で判定

重要なのは、令和9年度の学力試験による選抜が「学力試験の結果及び出願書類のうち、各類が指定する方法を総合して行う」とされている点です。学力試験の日程には数学・物理または化学・英語のみが並び、独立した面接試験は組まれていません。一方で推薦は面接が選考の中心です。この違いを取り違えると対策の方向性を誤るため、最新要項で自分の受けるルートの選考材料を必ず確認してください。

出願資格7区分を整理する

学力試験による選抜の出願資格は、次の7区分のいずれかに該当する人です(いずれも令和9年3月までの卒業・修了見込みを含みます)。

  • 高等専門学校または短期大学を卒業した者(2027年3月卒業見込みを含む)
  • 専修学校の専門課程(修業年限2年以上かつ総授業時間数1,700時間以上)を修了した者
  • 大学を卒業した者
  • 外国の短期大学の課程(14年課程相当)を我が国で修了した者
  • 外国の大学の課程(16年課程相当)を我が国で修了した者
  • 大学に2年以上在学し、64単位以上を修得(見込)した者
  • 高等学校等の専攻科(修業年限2年以上)を修了した者

注意点として、各省庁が設置する大学校(いわゆる文部科学省所管外の大学校)からの編入学は認められません。また大学に在学中の人は在籍したまま受験でき、合格した場合は2027年3月末までに退学証明書を提出する扱いになっています。「大学2年以上・64単位以上」の区分で出願する場合、指定の単位を最終的に修得できなかったときは入学許可が取り消される点にも注意が必要です。

推薦による選抜の出願資格はこれより限定的で、2027年3月に高等専門学校を卒業見込みで、志望する類に対応する学科(コース・系)に在籍している人に限られます。つまり推薦は「高専生の現役ルート」であり、短大生・大学生・既卒者は学力試験ルートで受けることになります。自分がどの区分に当てはまるかを最初に確定させることが、ルート選びの出発点です。

推薦による選抜の条件と選考内容

推薦による選抜は、高等専門学校において人物・学業ともに優れ、志望する類での専攻意志が強く、学校長が責任をもって推薦できる人に対し、学力試験を免除して面接試験と提出書類で選抜する制度です。学力試験がない分、出願できるかどうかは在学中の成績条件で決まります。

成績条件は、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ類とも共通で「3・4年次の各学年の学科(コース・系)等、所属する最小単位現員に対する学業成績の席次の平均が上位20%以内」であることです。要項の例では、3年次に40人中5位、4年次に35人中4位の場合、合計75人中9位となり9÷75=0.12(12%)なので基準を満たす、と説明されています。席次を定めない高専では、在籍学校長が同等と認めて推薦する扱いになります。

推薦で押さえるべきポイントと、やってはいけないことを対比すると次のとおりです。

  • 押さえるべきこと:3年次からコンスタントに席次上位20%を維持する(4年次だけ良くても平均で満たせない場合がある)
  • 押さえるべきこと:志望する類に対応した学科・系に在籍しているか、早めに確認する
  • してはいけないこと:各高専の推薦人数(4名以内)の枠を意識せず出遅れる(校内選考で決まる)
  • してはいけないこと:面接対策を「形式的なもの」と軽視する(推薦は面接が選考の中心)

各高等専門学校からの推薦は4名以内という上限があるため、大学の選抜以前に「校内選考」を通過する必要があります。面接では、志望動機・勉学意欲・自己表現能力に加え、卒業研究の内容や数学・情報(Ⅰ類)、数学・専門科目(Ⅱ類)、数学・物理または化学・専門科目(Ⅲ類)の基礎知識について試問が行われます。学力試験は免除でも、基礎知識を口頭で問われる点は変わらないと理解しておきましょう。

学力試験による選抜の科目と配点

学力試験による選抜は、募集人員の半数程度を占める中心的なルートです。令和9年度の学力試験は、数学・物理または化学・英語の3科目で構成されます。物理学と化学は試験当日にどちらかを選択します。配点と出題分野は次のとおりです。

科目配点出題分野・内容
数学120点微分積分学(一変数・多変数・基本的な微分方程式)、線形代数学
物理学(選択)90点力学、電磁気学、熱物理学、波動と光、現代物理学
化学(選択)90点物質の結合、化学平衡(化学熱力学を含む)
英語90点大学教養程度

数学が120点と最も配点が高く、物理/化学と英語が各90点です。単純合計では300点満点相当で、数学の比重が大きい設計になっています。解答は記述式で、答えだけでなく「そこに至る思考・判断の過程や表現力」も含めて評価される点が特徴です。したがって、答えが合っていればよいという発想ではなく、途中式や論証を丁寧に書く訓練が得点に直結します。

もう一つ実務上重要なのが、要項に「本学特別編入学学力試験の過去問題から出題されることがあります」と明記されている点です。過去問演習は、傾向把握にとどまらず直接的な得点対策にもなり得ます。物理と化学の選択は、出身学科で得意な方を選ぶのが基本ですが、化学は出題分野が「物質の結合」「化学平衡」に絞られている一方、物理は5分野に広がるため、範囲の広さと自分の習熟度を見比べて選ぶとよいでしょう。

電通大の英語は独自筆記|外部検定型との違い

電通大の学力試験ルートで最も間違えやすいのが英語です。近年、国立大学の編入試験では英語をTOEICやTOEFLの外部検定スコア提出で代替する大学が増えています。しかし電通大の学力試験による選抜では、TOEIC等のスコア提出制ではなく大学独自の英語筆記試験(90点・90分)が課されます。この点は、外部検定活用型が主流の他大学と対照的な特徴です。

両者の違いを整理すると、対策の方向性がはっきりします。

  • 外部検定型(TOEIC等):早めにスコアを取れば「英語は終わり」にできる。リスニング・時間配分など検定特有の対策が中心
  • 独自筆記型(電通大):試験当日に90分の記述式で勝負する。長文読解・和訳・英作文など大学入試型の運用力が問われる

たとえば「TOEICのスコアは持っているが、和訳や記述式の英語は久しく書いていない」という受験生は、電通大の独自筆記に対して準備不足になりがちです。逆に、大学入試レベルの読解・文法・英作文をこなせる人にとっては、検定スコアを気にせず本番一発で評価される分、シンプルとも言えます。過去問で出題形式(長文の分量、和訳・要約・英作文の有無)を早めに確認し、「大学教養程度」の語彙・読解に慣れておくことが対策の軸になります。

数学・理科の出題範囲と対策の進め方

配点120点の数学は、微分積分学(一変数・多変数・基本的な微分方程式)と線形代数学が出題範囲です。高専・大学1〜2年で学ぶ解析と線形代数の王道分野であり、偏微分・重積分・行列の固有値問題・線形空間といった典型テーマを、記述式で正確に解ける力が求められます。数学は配点が大きいため、ここを安定させることが合格ラインへの近道です。

対策の順序としては、次のように進めると効率的です。

  • ステップ1:微分積分・線形代数の教科書レベルの定義・定理を、証明の流れごと復習する
  • ステップ2:編入向けの演習書で典型問題を反復し、記述の型(途中式・論証)を固める
  • ステップ3:電通大の過去問で時間配分(数学120分)を体感し、部分点を取り切る答案作成に慣れる

理科は物理学(力学・電磁気学・熱物理学・波動と光・現代物理学)か化学(物質の結合・化学平衡)の選択です。物理は範囲が広い分、力学・電磁気の頻出テーマを軸に固め、熱・波動・現代物理は取りこぼしを減らす方針が現実的です。化学は範囲が絞られているため、無機・物理化学の該当領域を深く固めれば得点源にしやすい一方、少ないテーマでミスが響くという裏返しもあります。たとえば「機械系で物理は得意だが化学はブランクがある」なら物理選択、「応用化学系で化学平衡や熱力学が得意」なら化学選択、といったように、出身学科の強みで選ぶのが基本方針です。

令和9年度(2027年度)の日程と費用

令和9年度(2027年度入学)の日程は、募集要項によると次のとおりです。推薦と学力試験で出願期間・試験日・発表日が分かれています。

区分推薦による選抜学力試験による選抜
出願期間2026年5月中旬(要項で確認)2026年6月15日〜17日
試験日2026年6月1日(面接)2026年6月25日(数学・理科・英語)
合格発表2026年6月5日2026年7月10日
検定料30,000円30,000円

学力試験の当日スケジュールは、数学が10:00〜12:00(120分)、物理学または化学が13:00〜14:30(90分)、英語が15:30〜17:00(90分)と、1日で3科目を実施する構成です。推薦の合格発表(6月5日頃)から学力試験の出願締切(6月17日)までの期間が短いため、要項には「推薦で不合格になった場合に備え、あらかじめ募集要項を2部入手しておくことが望ましい」と案内されています。推薦・学力の併願を視野に入れる人は、この日程の詰まり方を前提にスケジュールを組む必要があります。

入学後の費用の目安として、入学料282,000円、授業料は年額535,800円(前期分267,900円)が要項に示されています(いずれも改定される場合があります)。検定料30,000円と合わせ、出願から入学までにかかる費用の全体像も早めに把握しておきましょう。日程・金額はいずれも年度により変わり得るため、出願前に必ず最新の募集要項で確認してください。

推薦か学力か、自分に合うルートの選び方

この記事の中心テーマである「ルートの選び方」を、判断基準として整理します。まず前提として、推薦に出願できるのは「2027年3月に高専卒業見込みで、志望する類に対応する学科に在籍し、成績が上位20%以内」の人に限られます。この条件を満たすかどうかで、選べる道が変わります。

  • 推薦が向いている人:高専で対応学科に在籍し、3・4年次の席次平均が上位20%以内。学力試験の負担を避け、面接・卒業研究のアピールで勝負したい
  • 学力試験が向いている人:成績条件を満たさない、短大・大学出身・既卒である、または筆記で実力を示したい。数学・理科・英語の記述式に対応できる
  • 両方を視野に入れる人:推薦条件を満たしつつ、不合格時の保険として学力試験の準備も並行する(要項も2部入手を推奨)

たとえば「高専の情報系学科で席次は常に上位15%、卒業研究にも力を入れてきた」という人なら、推薦を第一候補に据えつつ、面接での試問(数学・情報の基礎知識)に備えるのが合理的です。一方「短大や大学からの編入で、そもそも推薦資格がない」人は、迷わず学力試験ルートに絞り、数学120点を軸に得点を積む戦略になります。重要なのは、資格・成績・得意分野という自分の条件を先に棚卸しし、そこから逆算してルートを一つに定めることです。ルートが定まれば、対策すべき内容(面接か記述式か)も自ずと決まります。

単位認定と「2年で卒業できない」リスクへの備え

電通大の特別編入学で見落とされがちなのが、編入後の単位認定と卒業年限の問題です。要項には「出身学校における専門分野が編入学する類の教育内容と異なるなどにより、認定される単位が少なくなることがある。その場合、入学後に履修する科目が非常に多くなり、2年で卒業することができなくなる」と明記されています。編入は「3年次から2年で卒業」が原則ですが、これはあくまで十分な単位認定が受けられた場合の話です。

認定される単位は、出身学校での履修科目・成績証明書の内容・特別編入学試験の成績を考慮して決まり、単位認定には上限も定められています。最長在学期間は4年(休学期間を除く)です。この点を踏まえた備えとして、次のような視点が役立ちます。

  • 出身学科と志望する類・プログラムの専門分野が近いほど、認定単位が多くなりやすい
  • 合格後に届く「単位認定に関する通知」をよく読み、必要な手続きを漏れなく行う
  • 2年での卒業を確実にしたいなら、志望プログラムの卒業要件・カリキュラムを事前に調べておく

たとえば、電気系の高専からⅡ類(融合系)に編入する場合と、やや畑違いのⅢ類の化学生命工学プログラムに編入する場合とでは、認定される専門単位の量が変わり得ます。合格そのものだけでなく「入学後にどれだけスムーズに卒業できるか」まで含めて出願先を選ぶことが、結果的に時間と学費の面で有利に働きます。なお教員免許については、所定科目の単位を修得して卒業すれば、プログラムに応じて高等学校教諭一種(数学・理科・情報)や中学校教諭一種(数学・理科)の免許を申請取得できる場合があります。免許取得を目指す場合は、認定科目の使用に制限があるため、入学後の教職課程ガイダンスへの出席が必要です。

合格から逆算した学習スケジュール

電通大の編入試験は例年6月に実施されます。試験本番から逆算して、無理のない学習計画を立てることが合格率を左右します。ここでは学力試験ルートを想定した、一般的なスケジュールの目安を示します(個人の学力・在籍状況により調整してください)。

  • 試験の約1年前(前年の夏〜秋):数学(微積・線形代数)と理科の基礎を教科書レベルで総復習し、英語も読解の勘を戻す
  • 試験の約半年前(冬〜春):編入向け演習書で典型問題を反復。記述式の答案作成に慣れる
  • 試験の2〜3か月前(春):電通大の過去問に取り組み、時間配分・出題傾向・英語の形式を把握する
  • 試験直前期(5〜6月):過去問の解き直しと弱点補強。物理/化学の選択を最終確定する

推薦ルートの場合は、筆記対策よりも「在学中の成績維持」と「面接・志望動機の準備」が中心になります。3年次から席次上位20%を維持することが出願条件に直結するため、日々の定期試験・課題への取り組みそのものが対策です。面接では卒業研究の内容や基礎知識を問われるため、自分の研究テーマを平易に説明できるよう整理し、志望する類・プログラムで何を学びたいかを言語化しておきましょう。いずれのルートでも、「本番はいつで、何を問われるか」を早い段階で正確に把握することが、遠回りを防ぐ最大のコツです。

電通大に編入する価値とメリット・注意点

ルート選びの前提として、そもそも電通大に編入する意義を確認しておきましょう。電通大は情報・通信・電子・機械・光・量子・化学生命といった理工分野を、「総合コミュニケーション科学」という独自の理念のもとで横断的に学べる国立大学です。高専で身につけた実装力・専門基礎を土台に、より高度な理論と研究に踏み込みたい人にとって、編入は有力な選択肢になります。学士課程と修士課程(博士前期課程)の一貫性が教育課程の特徴とされており、研究志向の人が大学院まで見据えて学びを深めやすい環境です。

一方で、編入にはメリットだけでなく注意点もあります。両面を対比して整理します。

  • メリット:高専・短大で得た専門基礎を活かし、3年次から専門性の高い学びに接続できる
  • メリット:一般入試(共通テスト)を経由せず、編入試験の科目に絞って準備できる
  • メリット:大学院への内部進学まで見据えたキャリア設計がしやすい
  • 注意点:単位認定次第で2年で卒業できない場合があり、履修負担が増えることがある
  • 注意点:出身学科と類の分野が離れると、認定単位が少なくなりやすい

たとえば、就職を早めたい人にとっては「3年次編入で2年後に卒業」という時間効率が魅力です。逆に、研究をじっくり深めたい人にとっては、大学院への接続を前提に編入先の研究室・プログラムを選ぶ視点が重要になります。編入は「入ること」がゴールではなく、その先の学びとキャリアの入口であるという意識を持って志望先を選びましょう。

志望動機と面接で評価される伝え方

推薦による選抜では面接が選考の中心であり、学力試験ルートでも出願書類の中で志望動機は重要な情報です。面接試験では、志望動機・勉学意欲・自己表現能力に加え、卒業研究の内容や、志望する類に応じた基礎知識(Ⅰ類は数学・情報、Ⅱ類は数学・専門科目、Ⅲ類は数学・物理または化学・専門科目)について試問されます。ここで問われているのは、単なる暗記知識ではなく「この受験生が編入後に伸びるか」という適性です。

評価される志望動機と、避けたい志望動機を対比すると次のようになります。

  • 評価されやすい:出身校での学び・卒業研究と、電通大で学びたい内容が具体的につながっている
  • 評価されやすい:志望する類・プログラムで扱う分野を調べたうえで、なぜその類なのかを説明できる
  • 避けたい:「国立大学だから」「就職に有利だから」といった、電通大でなくてもよい理由に終始する
  • 避けたい:卒業研究の内容を自分の言葉で説明できず、専門用語を並べるだけになる

たとえば「高専でセンサを用いた計測システムの卒業研究に取り組み、その延長で制御・計測をより深く学びたいのでⅡ類の計測・制御システムプログラムを志望する」といった、自分の経験と志望先を橋渡しする説明は説得力があります。面接対策としては、自分の卒業研究を高校生にも分かる平易さで説明できるよう整理し、志望する類・プログラムのカリキュラムを事前に調べておくことが有効です。

出願書類の準備と提出上の注意

電通大の特別編入学は、出願をすべて郵送(簡易書留)で行い、郵送以外は受け付けないと要項に定められています。出願期間内に必着で届く必要があるため、余裕をもった準備が欠かせません。特に学校が作成する書類は時間がかかるため、早めに依頼するのが鉄則です。

学力試験による選抜で必要になる主な書類は次のとおりです(区分により追加書類があります)。

  • 入学志願票・写真票・受験票(要項添付の用紙に記入、写真を貼付)
  • 成績証明書・卒業(見込)証明書(出身校長または学部長が作成し厳封)
  • 在学(期間)証明書や修得見込単位を示す書類(大学2年以上・64単位区分の該当者)
  • 入学検定料30,000円の払込を証明する「振替払込受付証明書」の貼付
  • 受験票等送付用封筒(410円分の切手貼付)、あて名票など

やってはいけない典型的なミスとして、写真の補正・加工をしてしまう、成績証明書の厳封を自分で開封してしまう、払込証明書の貼付を忘れる、といったものがあります。要項には「出願書類に不備があっても入試課から受領の連絡は行わない」旨の記載があり、不備は自己責任です。提出前に、要項のチェックリストと突き合わせて一つずつ確認しましょう。なお、推薦から学力試験に出し直す場合、成績証明書・卒業見込証明書の再提出は不要とされていますが、募集要項自体は別途入手が必要です。

過去問の入手と活用法

電通大の学力試験対策では、過去問の活用が特に重要です。要項に「本学特別編入学学力試験の過去問題から出題されることがあります」と明記されているため、過去問は傾向把握だけでなく直接の得点対策にもなり得ます。過去問の入手方法や公開範囲は年度・大学の運用により変わるため、入試課への問い合わせや大学公式サイトの案内で最新の扱いを確認してください。

過去問は「解いて終わり」にせず、次のように段階的に活用すると効果が高まります。

  • 1周目:時間を計らずに解き、出題テーマ・難易度・記述量の全体像をつかむ
  • 2周目:本番と同じ時間配分(数学120分、理科90分、英語90分)で解き、時間感覚を身につける
  • 3周目:間違えた問題・時間が足りなかった問題を分野別に整理し、弱点を補強する

特に数学は記述式で「思考・判断の過程」まで評価されるため、模範解答と自分の答案を見比べ、論証の飛躍や説明不足を埋める練習が有効です。英語も、過去問で長文の分量・和訳や英作文の有無といった形式を早めに把握しておけば、当日の時間配分で慌てずに済みます。過去問演習を軸に据え、足りない基礎は教科書・演習書で補う、という往復が対策の王道です。

他大学との比較で考える電通大の位置づけ

編入は複数大学の併願が一般的です。電通大を志望校の一つに据えるなら、他大学と比べたときの特徴を理解しておくと、対策の優先順位を付けやすくなります。前述のとおり、電通大の学力試験ルートの最大の特徴は「英語が大学独自の記述式」である点です。英語を外部検定(TOEIC等)で判定する国立大学が増えるなかで、電通大は本番の筆記で英語力を測ります。

併願戦略を考えるうえでの観点を整理します。

  • 英語対策の重複:外部検定型の大学と併願するなら、TOEIC対策と電通大の英語筆記対策は別物として両方に時間を割く必要がある
  • 数学の比重:電通大は数学120点と配点が大きいため、数学が得意な人には有利に働きやすい
  • 日程の重なり:編入試験は6月に集中しがち。試験日・出願期間が他大学と重複しないか事前に確認する

たとえば「TOEICのスコアを武器に外部検定型の大学を複数受けつつ、電通大も志望する」場合、電通大のためだけに英語筆記の対策を追加する余力があるかを見極める必要があります。逆に、数学・理科の記述式に自信があるなら、電通大の配点構成はむしろ追い風です。自分の強みと各大学の選抜方式を照らし合わせ、限られた時間をどこに配分するかを戦略的に決めましょう。なお、本記事はあくまで一般的な考え方の整理であり、併願先の具体的な選定は各大学の最新要項を確認したうえで判断してください。

編入後の学びと大学院進学

編入合格はゴールではなく、大学での学びの入口です。電通大の情報理工学域では、3年次編入後、各類が定めるカリキュラムに従って卒業要件を満たす必要があります。編入時に認定される単位には上限があり、卒業までに修得すべき単位が別途定められています。編入生は、認定単位と新規履修科目のバランスを踏まえて、2年間(最長4年)で計画的に単位を積む必要があります。

研究志向の人にとって重要なのが、大学院への接続です。電通大は情報理工学研究科に博士前期課程(修士)・博士後期課程(博士)を設けており、学士課程からの一貫した学びが教育課程の特徴とされています。編入生も、卒業研究を通じて研究室に所属し、そのまま大学院に内部進学して研究を深める道が開かれています。編入先のプログラム・研究分野を選ぶ際は、「2年で卒業して就職するのか」「大学院まで進んで研究するのか」という卒業後の進路イメージを持っておくと、志望プログラムの選択に一貫性が生まれます。

また、卒業して学士の学位を取得すれば、所定の科目単位の修得によりプログラムに応じた教員免許(高校の数学・理科・情報、中学の数学・理科)を申請取得できる場合があります。ただし特別編入学生は認定科目の使用に制限があるため、免許取得を目指すなら入学直後の教職課程ガイダンスへの出席が前提です。このように、編入後の学び・進路の選択肢は幅広いため、出願段階から「入学後にどう過ごすか」を描いておくことをおすすめします。

各類で広がる進路イメージを具体化する

類・プログラムを選ぶときは、卒業後の進路イメージまで具体化しておくと、志望動機にも一貫性が生まれます。ここでは、各類でどのような学びと進路が想定されるかを整理します。あくまで一般的なイメージであり、実際のプログラム内容・進路は大学公式の案内で確認してください。

  • Ⅰ類(情報系):ソフトウェア、データサイエンス、メディア、経営情報など。IT・情報通信業界の開発職や、データ分析・AI関連の職種が視野に入る
  • Ⅱ類(融合系):情報通信、電子情報、計測・制御、ロボティクス、セキュリティなど。組込み・通信・ロボット・制御を扱うメーカーや通信系企業が視野に入る
  • Ⅲ類(理工系):機械、電子、光、物理、化学生命など。ものづくり系メーカー、電子デバイス、光学、素材・化学系の技術職が視野に入る

たとえば「高専で情報工学を学び、卒業後はデータ分析の仕事に就きたい」という人は、Ⅰ類の情報数理工学やデザイン思考・データサイエンスプログラムが進路イメージと合致します。「電子回路や通信に興味があり、通信インフラを支える技術者になりたい」なら、Ⅱ類の情報通信工学が近い選択です。このように、卒業後にやりたいことから逆算して類・プログラムを選ぶと、面接で問われる志望動機にも説得力が出ます。進路の解像度を上げることは、単なる出願準備にとどまらず、入学後のモチベーション維持にもつながります。

独自の英語筆記に向けた具体的な学習法

電通大の英語(90点・90分)は大学独自の記述式です。外部検定と違い、当日の答案で英語運用力を示す必要があるため、読解・和訳・英作文といった総合的な運用力を鍛えることが求められます。「大学教養程度」とされているため、極端に専門的な語彙よりも、標準的な読解力と正確な表現力が鍵になります。

具体的な学習の進め方を、やるべきこと・避けたいことで整理します。

  • やるべきこと:標準的な英文読解の教材で、パラグラフ単位で内容を正確につかむ練習を積む
  • やるべきこと:和訳・要約・英作文など、記述で答える形式に慣れる(書いて添削を受ける)
  • やるべきこと:理工系の話題を含む英文にも触れ、専門的な文脈での読解に慣れておく
  • 避けたいこと:検定のスコア対策だけで満足し、記述式の運用練習を後回しにする
  • 避けたいこと:単語暗記に偏り、文構造の把握や英作文の練習をおろそかにする

たとえば、TOEICのリーディングは得意でも、いざ和訳を書くと日本語として不自然になる、英作文で文法ミスが出る、という受験生は少なくありません。英語は数学・理科と違い、短期間で急に伸びにくい科目です。試験の1年前から少しずつ読解・記述の練習を積み、過去問で出題形式を確認しておくことが、当日の得点を安定させる近道です。90分という時間内に、読解と記述をどう配分するかもあらかじめシミュレーションしておきましょう。

推薦の校内選考を勝ち抜くために

推薦による選抜は、各高等専門学校からの推薦が4名以内に制限されています。つまり大学の選抜を受ける前に、まず「校内選考」を通過しなければなりません。校内選考の基準や方法は学校ごとに異なりますが、在学中の成績が大きな要素になるのは共通です。推薦を狙うなら、大学の出願条件(3・4年次の席次平均が上位20%以内)を満たすだけでなく、校内で推薦枠を確保する意識が必要です。

校内選考を勝ち抜くために意識したいことを整理します。

  • 早い時期から成績を安定させる:席次は3年次から評価対象になるため、直前だけの追い上げでは平均で不利になりやすい
  • 志望を早めに担任・進路指導に伝える:推薦の意思表示が遅れると、校内選考で出遅れることがある
  • 卒業研究や課外活動でも評価される姿勢を示す:学業成績以外の人物評価も推薦の判断材料になり得る

たとえば、4年次に急に成績を上げても、3年次の席次が低ければ「3・4年次の平均」で基準を割り込む可能性があります。推薦は「日々の積み重ねが直接効くルート」だと理解し、低学年のうちから継続的に成績を維持することが最大の対策です。校内選考の詳細な運用は在籍校でしか分からないため、志望を固めたら早めに担任や進路担当に相談し、必要な準備とスケジュールを確認しておきましょう。

試験当日の流れと直前期の過ごし方

学力試験による選抜の当日は、1日で数学・理科・英語の3科目を実施します。スケジュールは、数学が10:00〜12:00、物理学または化学が13:00〜14:30、英語が15:30〜17:00という長丁場です。朝から夕方まで集中力を保つ必要があるため、前日までの体調管理と当日の時間配分が、実力を出し切れるかを左右します。

当日と直前期に押さえておきたいポイントは次のとおりです。

  • 受験票を必ず携帯する(要項に明記された必携物)
  • 物理・化学の選択は事前に決めておき、当日迷わないようにする
  • 長時間の試験に備え、前日は十分な睡眠をとり、当日の食事・休憩の取り方も想定しておく
  • 宿泊が必要な場合、大学は宿泊斡旋を行わないため、各自で早めに手配する

直前期は、新しい問題集に手を広げるよりも、これまで解いた過去問・演習の解き直しに集中する方が効果的です。特に数学は配点が大きいため、頻出テーマの解法を確実に再現できる状態に仕上げましょう。理科は選択科目の頻出分野を、英語は過去問の形式に沿った読解・記述を最終確認します。試験は6月に行われるため、そこから逆算して「直前期に何を仕上げるか」を早い段階から計画しておくことが、当日の安定した得点につながります。

費用・学費と経済的サポートの確認

出願を決める前に、費用面も具体的に把握しておきましょう。特別編入学にかかる費用は、まず出願時の検定料30,000円、そして合格後の入学料と授業料です。要項によると、入学料は282,000円、授業料は年額535,800円(前期分267,900円)が示されています(いずれも改定される場合があります)。編入後は2年間(最長4年)在学するため、授業料はその期間分が継続してかかることになります。

費用を検討する際のポイントを整理します。

  • 出願前:検定料30,000円と、遠方の場合は受験のための交通費・宿泊費を見込む(宿泊斡旋はなし)
  • 入学時:入学料282,000円と授業料前期分の納入が必要
  • 在学中:授業料は年額で継続してかかる。単位認定次第で在学が延びると負担も増える

国立大学には、授業料免除・入学料免除や日本学生支援機構の奨学金など、経済的な支援制度があります。要項にも学費免除・奨学金に関する問い合わせ先(学生課経済支援係)が案内されています。経済面が進学の判断に関わる場合は、こうした制度の対象になるかを早めに大学へ確認しておくと安心です。費用は年度によって改定され得るため、最終的な金額は必ず最新の募集要項・大学公式サイトで確認してください。

編入試験に向けて今から始めること

ここまで、電通大編入の2ルートと対策を見てきました。最後に、志望を固めた人が「今から何をすべきか」を行動レベルで整理します。編入試験は情報戦の側面が強く、早く正確に動いた人ほど有利になります。

  • ステップ1:自分の出願資格(推薦の対象か、学力試験のどの区分か)を確定する
  • ステップ2:志望する類・プログラムを、進路イメージと出身学科の分野から絞る
  • ステップ3:最新の募集要項を入手し、日程・科目・配点・必要書類を書き出す
  • ステップ4:ルートに応じた対策(推薦=成績維持と面接準備、学力=数学・理科・英語の記述式)を開始する
  • ステップ5:過去問を入手し、出題傾向と時間配分に合わせて仕上げていく

たとえば、推薦を狙う高専生であれば、まずは低学年からの成績維持と校内選考の確認が最優先です。学力試験ルートの人は、配点の大きい数学から着手し、理科の選択科目を早めに決め、英語の記述練習を並行して進めるとよいでしょう。どのルートでも共通して大切なのは、「本番はいつで、何が問われるか」を最初に正確に把握し、そこから逆算して計画を立てることです。独学で不安がある場合や、記述式の答案添削・面接対策で第三者の視点が欲しい場合は、編入指導の経験がある指導者に相談するのも有効な選択肢です。

編入生が入学後につまずかないために

編入生は、一般入試で入学した学生とは異なるスタートを切ります。3年次からの合流となるため、周囲はすでに1・2年で人間関係やカリキュラムの流れをつかんでいます。学業面でも生活面でも、最初のうちは戸惑いを感じやすいものです。あらかじめ「編入生がつまずきやすいポイント」を知っておけば、入学後の立ち上がりをスムーズにできます。

よくあるつまずきと、その備えを対比します。

  • つまずき:認定単位が想定より少なく、履修すべき科目が多くなる → 備え:合格後の単位認定通知を熟読し、履修計画を早めに組む
  • つまずき:1・2年で扱った前提知識が抜けている → 備え:編入前に志望プログラムのシラバスを確認し、必要な基礎を補っておく
  • つまずき:研究室配属や大学院進学の情報が不足する → 備え:早めに指導教員・先輩に相談し、進路の見通しを立てる

たとえば、出身学科と類の分野が近い人は認定単位が多くなりやすく、2年での卒業を目指しやすい一方、やや畑違いの類に編入した人は、履修科目が増えて多忙になりがちです。入学後に「思ったより単位が足りない」と慌てないよう、出願段階からカリキュラムを調べ、入学後の学習量をイメージしておくことが大切です。編入は入学後の2年間をどう過ごすかで、その後のキャリアが大きく変わります。入口の対策と同じくらい、入学後の設計にも意識を向けましょう。

情報収集と要項確認の進め方

編入対策で最初に行うべきは、正確な情報収集です。この記事で紹介した募集人員・科目・配点・日程はいずれも令和9年度(2027年度入学)の募集要項に基づくものですが、次年度以降は変更される可能性があります。だからこそ、志望を固めたら必ず自分で最新の募集要項を入手し、一次情報で確認する習慣が欠かせません。

情報収集で押さえるべきことと、避けたいことを整理します。

  • 押さえるべきこと:大学公式サイトの入試情報・募集要項を一次情報として確認する
  • 押さえるべきこと:募集要項の配布時期・請求方法(郵送請求など)を早めにチェックする
  • 避けたいこと:個人の体験談や古い年度の情報だけを鵜呑みにして、募集要項を確認しない
  • 避けたいこと:出願期間・必要書類の確認が遅れ、準備が間に合わなくなる

特に電通大の特別編入学は、募集要項が郵送請求制で、出願も郵送(簡易書留)のみという運用です。返信用封筒を用意して請求し、受け取った要項をよく読んでから出願書類をそろえる、という一連の流れに時間がかかります。「気づいたら出願期間が終わっていた」という事態を避けるため、志望校が固まった段階で、まずは募集要項の入手方法と配布時期を確認しておきましょう。正確な情報を早く手に入れることが、対策全体の土台になります。

独学と専門的なサポートの使い分け

編入対策は独学でも進められますが、科目や状況によっては第三者のサポートを取り入れた方が効率的な場合があります。電通大の学力試験は記述式で、答案の論証や英語の和訳・英作文といった「書く力」が問われます。こうした記述は、自分では気づきにくい弱点が答案に表れるため、添削を受けることで伸びやすい領域です。独学とサポートの使い分けを、判断の目安として整理します。

  • 独学が向く場面:基礎の復習、典型問題の反復、過去問の1周目など、自分のペースで進められる作業
  • サポートが向く場面:記述式答案の添削、英作文の表現チェック、面接・志望動機の第三者チェック
  • サポートが向く場面:出願戦略やスケジュールの相談など、経験者の視点があると判断しやすいもの

たとえば、数学の基礎固めは市販の演習書で独学しつつ、記述答案や英作文だけは添削してもらう、といった併用が現実的です。推薦ルートで面接が中心になる人は、想定質問への受け答えを第三者に見てもらうことで、本番での説得力が高まります。大切なのは、自分の弱点と使える時間を踏まえて、独学とサポートを賢く配分することです。すべてを独学で抱え込む必要はありませんし、逆にすべてを他人任せにする必要もありません。自分に合った学習体制を早めに整えることが、限られた準備期間を最大限に活かすコツです。

編入学と他の入学方法との違い

高専・短大・大学から電通大を目指す方法として、特別編入学のほかに一般選抜(再受験)という道もあります。それぞれ性格が大きく異なるため、自分に合う入り方を理解しておきましょう。特別編入学は、高専・短大などで培った専門基礎を活かして3年次から編入する制度で、試験科目も編入試験に特化しています。一方、一般選抜は1年次からの入学で、大学入学共通テストと個別学力検査を課される、高校生と同じ土俵の試験です。

両者を対比すると、次のような違いがあります。

  • 特別編入学:3年次入学が原則。数学・理科・英語(独自筆記)や面接など、編入試験に絞った準備で臨める
  • 一般選抜:1年次入学。共通テストを含む幅広い科目が必要で、高校範囲全体の対策が求められる
  • 特別編入学:単位認定次第で2年での卒業が可能。時間効率がよい
  • 一般選抜:1年次からじっくり4年間学べるが、入学までの科目負担は大きい

たとえば、すでに高専で情報・理工の専門基礎を身につけている人にとっては、共通テストを含む一般選抜より、専門基礎を活かせる特別編入学の方が準備の負担を抑えやすい場合があります。逆に、幅広い科目を1年次からやり直したい人には一般選抜が向くこともあります。自分のこれまでの学びと、卒業までにかけられる時間・労力を踏まえて、どの入り方が最適かを検討しましょう。本記事のテーマである特別編入学は、専門基礎という強みを持つ高専・短大出身者にとって、有力な選択肢と言えます。

よくある質問

Q1. 夜間主課程(先端工学基礎課程)もこの記事の対象ですか?
A1. いいえ。本記事は昼間3類(Ⅰ類・Ⅱ類・Ⅲ類)の特別編入学に絞って解説しています。夜間主課程は募集時期・選抜方法が別枠で、募集要項の配布時期も異なるため、志望する場合は大学公式サイトで別途ご確認ください。

Q2. 英語はTOEICなどのスコア提出でよいですか?
A2. いいえ。学力試験による選抜では、外部検定スコアの提出制ではなく、大学独自の英語筆記試験(90点・90分)が課されます。大学入試型の読解・英作文などの対策が必要です。

Q3. 推薦による選抜に学力試験はありますか?
A3. ありません。推薦は学力試験を免除し、推薦書・出願書類・面接試験を総合して選考します。ただし面接では数学・専門科目などの基礎知識について試問が行われます。

Q4. 推薦の成績条件はどのくらいですか?
A4. Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ類とも、3・4年次の各学年の席次平均が所属最小単位で上位20%以内であることが基準です。席次を定めない高専では、学校長が同等と認めて推薦します。各高専からの推薦は4名以内です。

Q5. 検定料はいくらですか?
A5. 推薦・学力試験のいずれも30,000円です。推薦で不合格になり学力試験に出し直す場合は、あらためて募集要項を入手し、検定料を納付して出願する必要があります。

Q6. 学力試験の物理と化学はどちらを選ぶべきですか?
A6. 出身学科で得意な方を選ぶのが基本です。化学は「物質の結合」「化学平衡」に範囲が絞られ、物理は「力学・電磁気学・熱物理学・波動と光・現代物理学」の5分野に広がります。範囲の広さと自分の習熟度を見比べて決めましょう。

Q7. 編入後、2年間で卒業できないことはありますか?
A7. あります。出身学校の専門分野が編入する類の教育内容と異なる場合など、認定単位が少なくなり2年で卒業できなくなることがあると要項に明記されています。最長在学期間は4年(休学期間を除く)です。

Q8. 令和9年度の試験日はいつですか?
A8. 募集要項によると、推薦の面接試験が2026年6月1日、学力試験による選抜の試験日が2026年6月25日です。合格発表は推薦が2026年6月5日、学力試験が2026年7月10日とされています。日程は年度により変わるため、必ず最新の募集要項でご確認ください。

Q9. 大学に在学しながら受験できますか?
A9. 学力試験による選抜では、大学に在学中の人は在籍したまま受験できます。ただし合格した場合は、2027年3月末までに当該大学の退学証明書を提出する必要があります。詳細な取り扱いは募集要項で確認してください。

まとめ

電気通信大学の特別編入学は、学力試験なしで面接中心の「推薦による選抜」と、数学・物理または化学・英語の独自筆記が課される「学力試験による選抜」という、性格の異なる2ルートを持つのが最大の特徴です。ポイントを3点に整理します。第一に、推薦は高専の対応学科在籍・成績上位20%以内が条件で、面接が選考の中心。第二に、学力試験は数学120点を軸に理科90点・英語90点で、英語は外部検定ではなく大学独自の記述式。第三に、令和9年度は学力試験ルートに独立した面接がなく、学力試験と出願書類で判定されます。自分の資格・成績・得意分野を棚卸しし、どちらのルートで受けるかを早めに一つに定めて、そこから対策を積み上げましょう。数値・日程は年度で変わるため、必ず最新の募集要項で確認してください。

監修者:スプリング・オンライン家庭教師 編集部
執筆者:スプリング・オンライン家庭教師 編集部

この記事の監修・執筆者

春山 雅人スプリング・オンライン 大学編入指導講師

短期大学から筑波大学へ編入。その後、法学政治学研究科へ進学。自身の編入経験に基づく指導で、多数の大学編入試験合格者を輩出している。運営会社: 株式会社スプリングナレッジ(スプリング・オンライン家庭教師運営元)。運営者情報はこちら

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次